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No.5「YAMAHA / CA-X1 修理」
YAMAHAのパワーアンプ「CA-X1」です。
欲しいICが搭載されているのでヤフオクで部品取り用ジャンクを落札。 写真で見たら綺麗だったのに、実物は絶句するほど汚いです。不思議です。 自分で撮影してもやっぱり実物よりも綺麗に見えてしまっています。 そういうものなのですね。 中を見てみましょう。 ぎゃーーーー!! 私は汚いのが苦手で・・・ 虫とかも大嫌いだし・・・ これ・・・完全に野外に捨ててありましたよね・・・ ノークレーム・ノーリターンって便利な言葉ですね。 がんばろぅ・・・ パワー・トランジスタ・・・ 2SA745と2SC1403ですね。これはL-ch側。 綺麗になるものなかどうか、とりあえず片方だけ拭いてみました・・・ ステレオなのでこれがもう一組あります。これはR-ch側。 うむ。オイルで拭いたら綺麗になります。 このトランジスタは当然ながら廃番品で ちょっと国内の部品屋を探したくらいじゃもう入手出来ません。 拭いたら綺麗になりました。 筆を使ってオイルで掃除します。 正直、うちの前の道路より汚いです・・・ 水洗いなんていう手法もあるのですが とりあえずザっと掃除して、電源を入れられる状態にします。 2SC1509。古いトランジスタばかり。 2SA777、2SA763・・・ 2SA763・・・ 2SC1918・・・ 狭いところで壁を向いているので鏡ごしに撮影して反転。 2SB560・・・ ほとんど2SA777と同じなので86年版トランジスタ互換表にも互換品として載ってます。 逆に言うと、わざわざ互換品の2SA777と2SB560を使い分けているということです。 誰かが互換品を使って修理したという可能性もゼロではないですが 他のアンプでもこのような使い分けはよくあります。 このへんのことについては思うことがあるので、機会を改めて詳しく述べたいと思います。 2SD234・・・プロテクション回路に使われているコレクタ損失25Wのパワートランジスタです。 交換するなら30Wの2SD313かな。 下調べしておいた通り、欲しかったICが2個出てきました。 オイル・クリーニングだけだと油分まで落ちて、このように乾燥して白っちゃけてしまうので 錆び止め剤で艶を出します。 お肌に潤いを与えると10才は若く見えます。 この、TA7136の「AP」ではなく「P」のやつが欲しかったのです。 ということなので、このTA7136Pさえ壊れていなければ目的は果たせますが せっかくなのでこのTA7136Pが壊れていないことを確認する意味も含めて このアンプ自体、使えるようにしましょう。 ゴミや埃でショートしないように掃除してから そこらに転がってるチューナーとスピーカーを繋いで電源オーーン! 一応電源は入りましたが、右チャンネルだけバチバチ鳴ります。 ラジオの音は鳴ります。 左は正常ですが、右だけバチッ! ブツ、バチッ! バチバチ!って常に鳴ります。 ボリュームをゼロにしてもかなり大きな音でいつまでも鳴ります。 今にも大爆発してぶっ壊れそうなのですぐに電源を切ります。 スピーカー端子はAとBがあるので両方繋ぎ替えたりLとRを繋ぎ替えたりして 出力後のスピーカー側ではなく、アンプの増幅側の不具合だと分かります。 右チャンネルだけです。 トランジスタか、基板のどこかがハンダの浮きとかの接触不良か。ですね。 ボリュームの可変抵抗器が壊れててもトランジスタが壊れててもこの症状は出ますが、 右チャンネルだけなのでボリュームじゃないですね。 もしトランジスタだった修理代の方が高くついてしまうので厄介です。 トランジスタを左右で入れ替えてみればトランジスタが原因かどうかが分かります。 左右で交換しても症状は同じです。 つまりトランジスタが原因ではないということは分かりました。 このトランジスタもどちらかというと入手困難なので、とりあえずは良かったです。 hFEを測定したところ (L-ch) ・2SA745 hFE=71 ・2SC1403 hFE=21 (R-ch) ・2SA745 hFE=74 ・2SC1403 hFE=12 右も左も2SC1403が劣化してます。トランジスタも真空管と同様、劣化する部品なのです。 データシートによるとhFEが30以上とのことですので、21と12だと基準を下回っています。 ただし、データシートの測定条件が「周囲温度25度C、Ic=3A、Vce=4V」なのに対し、 私の測定条件は気温23度C、測定器は「ベース電流=10μA、Vce=3.2V」なので そのまま比較するのは実は正しくありません。 そりゃぁ新品に交換出来るのなら交換したいところではありますが とりあえず壊れているわけではないのでこのまま使います。 あくまでもこのアンプの修理すべき不具合は「バチバチ」で、 このトランジスタが「バチバチ」の原因ではないということです。 そうなると接触不良が一番怪しいですね。 意外にも可変抵抗器やスイッチ類のガリはありませんでした。 ラジオを流した状態で、基板上のトランジスタや電解コンを筆の柄でグラグラ揺らします。 どれも同じように怪しいというか、ざっと探したところ接触不良の部品は特に見つかりません。 基板のハンダをし直すのが最善かと。 ちょっと気になったのが、このパワートランジスタ2SA745と2SC1403の温度です。 指で触ってみると、バチバチ言う右チャンネルのパワートランジスタよりも バチバチ言わない左チャンネルのパワートランジスタの方が熱いのです。 そこで、エミッタ電圧を測定してみました。 こちらがバチバチ言う方の右チャンネル。 0.22Ωのセメント抵抗の両足からTP3とTP4が出ていて、その下の方に半固定抵抗器があります。 左チャンネルはここ。 ボリュームをゼロにして、バチバチ言う右が22mVで、左が26mVでした。 まぁトランジスタが劣化すればバランスも崩れるわけですが、どちらも高い。 工場出荷時は何mVにしてあったんでしょうね。 エミッタ抵抗が0.22Ωということは I=V/R I=0.022V÷0.22Ω ・・・0.1A 22mVでも100mAも流れていることになります。 このクラスのアンプのアイドリング電流は30mA〜50mA程度が一般的なので 左右とも40mVに調節してみましょう。 V=R×I V=0.22Ω×0.04A ・・・0.0088V ということで8.8mVですが、キリのいいところで9mVに合わせておきました。 とりあえずこれで様子を見ます。 左チャンネルのバチバチはこれとは関係ないのでまだ直りません。 クリーニングしておきましょう。 ではいよいよ基板裏のハンダのし直しです。 本体を裏返して底板を外すだけで基板の裏が出てきます。 色々と怪しいです。 右チャンネルの範囲をハンダし直したら、見事にバチバチが消えました。 分かってはいるのですが、 プリント基板というものは必ず経年劣化してハンダが浮いて接触不良を起こすものなのですね。 リサイクル家電の修理の担当者は中古の家電が入荷すると電源すら入れずに まず、黙々と基板のハンダを全てやり直すそうです。 「話はそれからだ」 ということでしょうか。 あとは細かいところ。 イコラーザーのBASSのつまみが滑ってクルクル回っちゃうのです。 ローレットのギザギザがなめてるのかと思ったら・・・ ギザギザの付いた樹脂のパーツとつまみとの接着が剥がれてるだでした。 接着して終わり。 基板は綺麗になりましたが やっぱりここの錆びが気になるのです。 板を外して・・・ サンドペーパーで錆びを落として塗装。 トランスの錆びには木工用ボンドを塗っておいて、あとで剥がします。 板を取り付けて 木工用ボンドが乾いたら剥がします。 こんなに錆びが取れました。 でもまだ錆びが残っているので。 塗装します。 カバーが錆びてるのは 錆びてるところだけ錆びを落として塗装しておきました。 最後にTA7136Pをソケット化して 使いたい時だけいつでも抜き差し出来るようにしておきました。 実は手前のシャフトの陰にも2個隠れています。 PHONO用に2個、TREBLE・BASS用に2個ですね。 さて、以上で終了ですね。 パネルやつまみもオイルで磨いたら新品のように綺麗になりました。 そこらへんにあった適当なチューナーと、レコードプレイヤーも引っ張り出してきてしばらく動作確認して完了です。 久しぶりにレコード聴きました。 これからはレコードの時代かもなぁ・・・ CDをレコードにダビング出来たらいいのに。 2015.7.5 |
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