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No.30「TEISCO / Express6 修理」


友達がヤフオクで入手したのを見せてもらって欲しくなって以来、
ヤフオクのアラートを設定したりネットで検索したりしながら何年もずっと探していた
TEISCOのフルチューブ・アンプ、Express6をようやく入手しました。
私が生まれる前に製造されたアンプです。





ヤフオクで誰とも競わずに16,800円で落札出来ました。 日頃の行いが良いからだと思います。





いつまでも眺めていたい外観。





コントロールは、VOLUME、TONE、REVERB、SPEED、DEPTH、です。





エンブレムとかも載せておきます。





ヒューズボックスが前面パネルにあります。2Aです。





より立派に見せる為に下から見上げるように撮影(笑





サランネットの左上に三角形のシミさえなかれば完璧なのですがまぁ許します。





Marshall の Lead12 と大きさを比較。





Guyatone の GA-200 Cupid と大きさを比較。





真空管。





左から、6CA4×1、7189A×2、6AV6×1、12AX7×2、です。





よくこういうカタログを見かけますが・・・記載内容が間違ってます。





まず、真ん中に「Express 5」と書いてありますがそこが「Express 6」です。
そして「7189A×1」になってますが「7189A×2」ですね。





このアンプのシリーズには箱の内側に回路図が貼られていて、中古だと無くなってたりしますが
これには剥がされた回路図と、そのコピーが入ってました。
画像で持っていたのですが、やっぱり現物があると嬉しいですね。







TEISCO Express6 回路図
express6_schematic

電源投入!!




電源投入後、15秒くらいで音が出ました。

とても太く低音がしっかり出ていてパワフルで、TONEを上げると強いアタックと高音がパリっと出ます。

このような古い真空管アンプはトレモロが効かなくなっていることが多いのですが
トレモロは正常に動作しました。


ただし、リバーブが効きません。 全然大丈夫です!! 直しますから!!





基板を見てみます。

ぬをを!! コンデンサが交換されまくりでした!!(笑




例えば下の写真の GuyatoneのGA-200 Cupid から外したコンデンサのように
オリジナルはこんな感じの灰色のオイルコンデンサのはずでして
個人的にはオリジナルのままがいいんですけど、劣化により交換せざるを得ないのが実情です。




まぁオリジナルではないのであまり紹介する意味もないような気がしますけど
一応ざっと見ていきましょう。



左から、Vintage SPRAGUE ATOM TVA-1712 40μF / 450V
ASTRONのMINIMITE 20μF / 350V、MALLORY 10μF / 450V です。

えー、渾身の力作ですね(笑




これは気になりますねぇ。 ブラックビューティーです。




裏返してみますね。 SPRAGUE 0.0005μF / 1600V です。
これはリバーブのOUTのカップリング・コンデンサで、回路図では0.005μFなんですけどね・・・




これはデカ過ぎでしょう(笑
SANGAMOのヴィンテージ ですね。




0.5μF / 600V でした。




ASCのX335 3μF / 400V です。




あとこの茶色い0.05μFがいくつかあります。




あとはオレンジ色のはだいたいSPRAGUEのオレンジドロップですがニッセイも混ざってます。
電解コンデンサもSPRAGUEですね。



ではリバーブがかからない原因を探ってみます。

・まず真空管ソケットの接点を確認。
・真空管を新品に交換。
・ドライブ回路の導通を確認。
・可変抵抗器の導通と抵抗値を確認。
・フットスイッチのジャックの導通を確認。
・各部の電圧を確認。
・リバーブと本体の配線の接触を確認。

ここまではすぐに確認しましたが、異常はありません。

真空管回路はトランジスタ回路に比べて単純なので、もう回路的には見るところがないですね。



そうするとリバーブユニット本体の問題だろう、ということになります。

よくあるのはコイルの配線が切れてるっていうやつですね。 えぇ、そんな気がします。




カバーを開けます。

さっさとコイルの配線が切れてるところを探しましょう。





えーと、コイルは・・・




あれ?




普通はこういうコイルがあるはずなんですけど・・・
(これはRoland SPIRIT 20 のリバーブユニット)






先生!! こっ、これにはコイルが見当たりません!!




(少なくとも私にとって)前代未聞。

コイルの無いスプリング・リバーブ・ユニットです。





導通を調べると、配線材は全て繋がっています。

そしてINもOUTも直流抵抗はありません。

コイルの代わりになるものがあるはずです。

回路図を見てもこれはコイルの記号ではないんですよね。
クリスタル(水晶発振子)の記号に見えます。


※【追記】:後日、このリバーブユニットは「クリスタル式」であるということが判明しました。




水晶発振子というのはこういうやつですが、現物のどこを見ても水晶発振子は無いし



板が2枚重なっていてるこれが、構造的にコンデンサなんですよね。



この細いアルミ箔みたいなか弱い線の導通がちょっと怪しいので



外して・・・



エナメル線で繋ぎます。





うーむ。

リバーブはかかりませんね。





本当にリバーブユニット本体に問題があるのか、リバーブユニット本体以外は問題ないのか。
他の正常なリバーブユニットと差し替えてみます。

冒頭で紹介した GuyatoneのGA-200 Cupid のリバーブユニットを使います。




リバーブユニットの配線がはんだ付けなので、まずコネクターで脱着出来るようにします。

OUT側の配線が1芯シールド線なのですが、手元に1芯シールド線が無かったので
わざわざ網線を使ってシールド線を自作します。




リバーブユニット側からは元の1芯シールド線が出ているので先端の処理だけです。
コネクターはメス側をピンソケットにして、オス側をすずメッキ線にしました。




これで脱着が可能になりましたので、Express6に繋いだり戻したりが簡単に出来ます。




早速、Express6に接続してみます。



先生!! リバーブがかかりました!!






これでリバーブユニット本体が原因だということが確認出来ました。

まぁアンプ本体の回路には問題が無いということで良かったとも言えます。



リバーブユニット本体が単なる断線とかではない壊れ方をしていると、もう交換するしかないのですが
現在入手出来るのはコイル式のものしかないので、選択肢が限られます。

1 . GA-200のリバーブユニットを移植する。
2 . ドライブ回路をコイル式用に改造してコイル式のリバーブユニットに交換する。
3 . 諦めてリバーブ無しのままにする。





まぁMarshallのLead12もリバーブは付いてないし
実際のところ私はどうせ歪ませてディレイを使うのでリバーブは無くてもいいわけですが
せっかく付いているのだからなんとかしたいですよねぇ。

うーむ。 もう少し粘ってみましょうかねぇ。



ということで


4 . もう少し粘る。



まず、白い配線はGNDに繋がっています。




2枚が重なっている板は、片側が上で三角っぽいブリキの板のスプリング側にはんだ付けされていて
反対側は下でスプリングとは反対側にはんだ付けされていて、真ん中は接着剤で固定されています。
そして下のスプリング側は接着剤です。




下側がここ。ブリキにはんだ付けされています。




つまり、コンデンサの働きをしている2枚の板は両方ともブリキと導通があるわけです。

ブリキは一体化しているのでコンデンサの両側が導通してしまっていることになり
ちょっと納得がいかないのですが・・・実際に導通しています。

しかもそのブリキはGNDに導通しています。



そしてスプリングは樹脂のローラーを介しているので、どこにも導通していません。




それらのことを踏まえて、

HOT --- 赤線 --- コンデンサ --- ブリキ(スプリング)ブリキ --- 白線 --- GND

ということで、2枚の板の代わりにコンデンサを取り付けてみました。




2枚の板をコンデンサとして容量を測ると、IN側が2637pF(0.002367μF)で




OUT側が3494pF(0.003494μF)でしたので




・IN側 = 0.0022μF
・OUT側 = 0.0033μF

にしました。





これでもリバーブはかかりません。



ヒョロヒョロの線じゃないと振動が妨げられてしまうのかもしれないということで
アルミ箔のヒョロヒョロの線にしてみたけど駄目。




ブリキ側にコンデンサ - アルミ箔 - 赤線側にコンデンサ というように2個のコンデンサで挟んでみても駄目。






気持ちを切り替えます。


まぁ例えばトランジスタが壊れていた場合に、そのトランジスタを直すのではなく交換するわけで
今回はリバーブユニットが壊れているのだからリバーブユニットを交換すればいいだけの話ですね。


Guyatone GA-200のリバーブユニットを外して移植します。



おや?





先生!! 外しました!!




なんと、見た目がExpress6のリバーブユニットのカバーと同じです!!




うはー!! 同じものでした!!





えーと、全く同じものですね先生・・・





よく見るとですね




ヒョロヒョロの線を貼る位置が板と板の間になってますね。




この時点で、2枚の電極板によるコンデンサというこの基本的構造が、
否定されます、と言いたいところですが・・・
測定してもコンデンサの機能があるので謎です。


色々いじっているうちにコンデンサもどきの板の下の方が欠けてしまいました。




裏側。




この状態で測定してみたら147pFでした。




もう捨てるつもりであと2本、抜き取ってみました。 1枚は真っ二つに割れました。
あることに気付いたので、先端が欠けていないかどうか長さを確認すべく2本を並べてみました。




ヒョロヒョロの線を貼る先端のところがずれていないのです。




先端がずれていないのでこのように貼ることが出来ません。






探ろうとすれば探ろうとするほど不可解な仕組みです。



挙句の果てにローラーが外れて元に戻せなくなりました。







いよいよ交換するしかありません。





ということで結局、Guyatone GA-200 Cupid のリバーブユニットを移植するわけですが
まずExpress6のオリジナルはこのまま閉じて保存しようと思います。

原形をとどめた状態で温存したいということですね。




そして、キャビネット内側の壁にネジ留めする穴を開けたくないので、下に置くことにします。
ただ置くというわけにはいかないので、端材で台を作ります。




ウレタンニスを塗ります。




これを乾かしている間に・・・コンデンサを交換します。



このExpress6は、単にコンデンサが交換されていただけではなくて
桁が異なるほどのコンデンサの容量の変更による大幅なモデファイがなされていました。

初段とリバーブ出力側のカップリングコンデンサとトーン回路のコンデンサで
いずれもアンプの音を変えられる場所ですので、意図的に変更されてますね。

トーンは、カッコ内が回路図の数値です。大幅に変更されています。




それらをノーマルの数値に戻してなるべくノーマルの音で楽しみたいと思います。

個人的には、というか気分によって考え方は変動するので、今の私の考えとしては
あまりレアなパーツでカラフルにゴロゴロさせてあるよりは
出来ればオリジナルの灰色の地味なコンデンサがいいのです。


このへんがどうも自分でも嗜好が曖昧で・・・


Marshall の Lead12 の場合は初期のものほどレアなパーツがカラフルにゴロゴロ組まれていて
それが醍醐味だったりするわけです。

そういうパーツの違いによって実際に音も違うので、比較するのも楽しいわけですよ。

それはそれなんですよ。

もしかすると、レアなパーツやカラフルなパーツがどうのこうのということではなくて
「オリジナルの仕様」が好みなのかもしれません。


・Lead12の初期ものはレアでカラフルなパーツがオリジナル。
・Express6は灰色の地味なパーツがオリジナル。

ということかな。



でもオリジナルと同じものは当然入手不可ですし、あったとしてもデッドストックだと劣化してますし
外観が似た新品のオイルコンデンサは、なくもないのですが見つけても無駄に高額だったりします。


そこで現実的に考えると・・・せめて統一感が欲しいかな、と。

色や見た目の統一感もですが、コンデンサの音の特徴的にもばらつきを抑えたいというか。



で、とりあえず手元にあるコンデンサでオリジナルのトーン回路の定数にしてみます。

トーン回路のコンデンサはこの3つ。




とりあえず音を確認するだけなので、音にクセのない積層セラミックにしてみました。


スカスカです(笑




基板や部品の「見た目」って大事ですよね。


私はこんなスカスカな見た目じゃとても満足なんか出来ないわけですけれども
音を確認するということだけを考えると、積層セラミックやマイラーが最適です。

逆に、音を確認するのにヴィンテージなオイルコンデンサ等を使うのは良くないと思っています。

うーむ・・・


コンデンサを2つずつ並列にしてあります。

国産の今時のというのか一般的なコンデンサは0.05μFとか0.005μFというのはなくて0.047μFとかなので
0.047μFと0.0033μFを並列の合成容量にして0.0503μFにしたりして微調整しています。

まぁ音を確認する為に見た目は捨てているということです。




そしたら、なんと!!  当然ですけどガラリと変わりました。

モデファイされてたやつはトーンを上げると音量も大きくなっていたのですが
音量はそのままでトーンだけが変化するようになりました。

やっぱりオリジナルに戻してみないと分からないことってありますよねぇ。


確かにモデファイの方も変化の幅が広くて低音がもの凄く効いて面白いんですけど
低音が効くというよりは、極端なハイカットになっていたんですね。

それに比べてオリジナルは変化の幅は普通の一般的な感じですが
充分にギターのトーンとして低音から高音までの範囲を充分にカバーしていて
何より音量はそのままでトーンだけが変化するので使い易いです。


そして・・・


わりと私が今まで使ってきた良質なトランジスタアンプと同じ使い勝手でエフェクターが使えます。


私が今まで使ってきたチューブアンプは、エフェクターで歪ませる場合に
トランジスタアンプの時に使っている歪みエフェクターのセッティングそのままだと通用しなかったのですが
これはDS-1などでそのままメタリカや普通のヘヴィな歪みが違和感なく使えます。

しかも Marshall の Lead12 よりも低音が効いてて迫力があります。

そう。Lead12 がもっと低音が効いてパワーが出たような感じ。


これはやばい(笑


Lead12 より良くなっては困る(笑



そこで思ったのです。

これはキャビネットとスピーカーが大きいから低音が効いてパワフルなのではないか? と。

そうです。

正解でした。


Lead12 を Express6 のキャビネットとスピーカーで鳴らすとかなり Express6 と同じようにパワフルになります。

えーと・・・

こういうことですね。




これはいい!!



この Express6 と Lead12 を同じ Express6 のキャビネットで鳴らすと、アンプの違いを楽しめます。


まぁいつもの自分の好みの音を出す為にはエフェクターを使いますが、エフェクターのセッティングは同じにして
スピーカーとキャビネットを同じにすれば純粋にアンプの違いを楽しめるというわけです。


Express6 のトーンは「TONE」というつまみが1つあるだけの1バンドなので
TREBLE、MIDDLE、BASS、の3バンドのつまみがある Lead12 の方が有利ではありますけど
メタリカをやるにしても許容範囲の音は出ます。


ちなみに同じチューブでも Guyatone のGA-200 Cupid は
いつものようにエフェクターを繋いでも心地良いいつもの自分の音にはなりません。
GA-200用に時間をかけてセッティングを詰めていかなければならないということです。

で、こういう現象は大型アンプのチューブでも起こります。

特に Marshall はエフェクターで歪ませる派にとっては使える音になるポイントが狭いですよね。
アンプで歪ませて足りない分を補う方がやりやすいし、その際に合うブースターは
エフェクターで歪ませる場合のものとはタイプが異なります。

そういう意味では、チューブなのにトランジスタアンプのような使い勝手で使えるというのは
私にとっては驚きでした。



ということで、交換するコンデンサを仕入て来ました。

コンセプトは 「レアで高価で稀少でデカくてカラフル・・・とは真逆に。」 です(笑

安価に、地味に。

安価といっても、決して「安かろう悪かろう」ではありません。
新品の現行品ですから劣化による不具合の心配もなく、レアなデッドストックよりも高性能で品質も安定しています。

地味さにも一応こだわりがあります。

古い市販メーカーのオリジナルっぽさを出したいので大型セラミック・ディスクは重要なアイテムです。

出来れば発売当時のオリジナルと同じく全て灰色のコンデンサで揃えたかったのですが、
灰色で揃えるのは色々と難しくてこんな感じにしました。




電解コンデンサは UNICON で統一。
工場が日本、台湾、中国にあるけど日本のメーカーなんですね。

小豆色のコンデンサはメタライズド・ポリエステル・フィルム。
シオヤ無線のおじさんが仕入れて販売しているのだから信頼してますが
帰って調べたら FARAD という台湾のメーカー製でした。

小豆色でも500pFだけマイカ。 近似値の470pFだけど許す。
許すけど、本当はセラミックディスクの500pFにしたかった。

残りのセラミックディスク3つのうち1つは松下製の 1000pF / 2000V です。

他にもE系列の関係上、0.05μFや0.005μFのところを近似値の0.047μFや0.0047μFにしてます。
このあたりにこだわることもありますが、今回はこだわりません。

送料をかけてでも複数のネット通販を利用すればもう少し満足いくレベルの部品を揃えられたのですが
早く作業をしたかったので仕入を横着して、ちょっとだけ妥協してしまった感が漂いますね(笑

でも8割がた満足かな?(笑  いつでも交換出来るし(笑



端からやってこっかなー。




はんだ吸取り線を使ってはんだを除去してもグルグル巻きの硬いリードをほどくのが大変・・・




なんとなく1MΩの抵抗器が駄目になってるようなきがする。 勘です。




テスターで抵抗値を測ろうとしても反応せず、たまに20MΩ超えとか出て怪しいのでチェッカーでも確認。
やっぱり壊れてますね。導通が無いです。 超能力級の勘が働いたということです。




この抵抗器はリバーブユニットの入力インピーダンス部分のGNDに落とす1MΩですが
これはリバーブがかからなかった原因ではないですね。
正常なリバーブユニットに交換したらリバーブは正常にかかったので。

外す際に熱でやられたかグルグル巻きのリードをほどく時にやられたか、だと思います。

交換です。


突然のことなので常備在庫の中から選びます。




一番上の大きいのは3W酸化金属皮膜抵抗器で
小さい3つは 1/2Wカーボン、1/4W金属、1/4Wカーボン です。

どれにするか。

一般的に真空管アンプに使用する抵抗器は1/2Wあればよいとされていますし
ここは実測でも電圧はほぼかかっていないので1/2Wカーボンの小さいやつで大丈夫なはずですが
あまり小さいと気分的にアレなので、色が気に喰わないのですが3Wの酸化金属にします。



このへんはだいたい交換し終えたのですが、1か所だけクリップで留めているコンデンサがあります。
これは初段のカップリングコンデンサで回路図では0.01μFのところが0.1μFになっていたところなんですけど・・・

0.01μFと0.1μFで弾き比べたらモデファイされた0.1μFのままの方が好みの音なので悩んでいるのです。
既に回路図通りの0.01μFを仕入れてあるのにです。




左がモデファイされて付いていたオレンジドロップ、0.1μF / 400V
右が今回仕入れたFARADのメタライズド・ポリエステル・フィルム、0.01μF / 630V




古臭い雰囲気は欲しいけど劣化したヴィンテージやカラフルなものは避けて統一感を出したいので
手持ちのコンデンサで探してみると・・・

松下とTDKのセラミックで0.1μFがありましたが、耐圧が25Vなので駄目なのです。
実測で100Vちょっとの電圧がかかっているので。




村田製作所の耐圧500Vのセラミックがありまして、これは見た目も良いのですが0.01μFなのでこれも残念。
でも0.01μFとしてなら今回仕入れたメタライズド・ポリエステル・フィルムよりいいかな。 見た目が(笑




0.01μFと0.1μFの間で0.047μFなら昔のBOSSにも使われていたKCKのセラミックが未開封で200個あるのですが
耐圧50Vなのでこれも駄目。




そもそもうちにあるのはエフェクター用の在庫ばかりですし。




それこそカラフルなやつとかヴィンテージなオイルコンデンサとかなら色々あるのですが・・・



・・・と思ったら今回の趣旨に合ったやつがありました。

ニッセイのメタライズド・ポリエステル・フィルム、0.1μF / 400V です。




大きさ比較。





とっ替えひっかえ何度も試します。


やっぱ0.1μFがいい音ですね。 ただ今回はオレンジドロップだと見た目が趣旨に合わないので。




0.01μFにすると音が細くなって低音が足りないし、音量も下がります。




やっぱ0.1μFがいいですね。 歪ませた時のアタック音もこっちのがいいです。




まぁTONEを5にして比べているので、0.01μFにするならTONEを2にして
0.1μFでもっと高音を出したい時はTONEを8や10にすればいいわけですし、いつでも交換出来ますのでね。



それでもだいぶ悩んでしまいまして(笑



0.01μFを取り付けてTONEを2に絞った音と、最初から0.1μFを取り付けてTONEを5にしたのでは
0.1μFでTONEを5にした音の方が断然いいんです。

やはりTONEを絞るのは低音がブーストされるわけではなく、ハイカット的な感じなので
0.1μFで低音がパワフルに出てくる感じはTONEを絞ることでは再現出来ないのです。



念の為、0.01μFと0.1μFの中間の0.047μFも試してみます。
他の場所で使う用に仕入れてある0.047μFのメタライズド・ポリエステル・フィルムです。




うーむ・・・




やっぱり0.1μFが気に入ってしまっているので、0.047μFでも音が細い感じが残ってしまいますね。

0.1μFにすると低音だけじゃなくて高音側も歪ませた時のザクザク感やアタック音などもグーンと出てきて
帯域が広くなるので、音量も0.01μFや0.047μFの時よりも大きくなってパワフルになります。



モデファイされているのをオリジナルの定数に戻したかったはずなんですけどね(苦笑



最終的に、ニッセイのメタライズド・ポリエステル・フィルム、0.1μF / 400V にしました。






次は隣のこのへん。




こうなりました。




ちなみにソケットのセンターピンが取れました。 使ってないので放置します。






とりあえずここまででこれだけの 価値のあるコンデンサ を除去して・・・






汎用品に交換しました。

やってることが逆のような気もしますが、
古い市販のメーカーのオリジナルっぽい感じを目指しているので、これで狙い通りです。




ある程度交換したらその都度音を出して確認。 順調です。

この調子でいきましょう。



次はここ。

左のトーン回路のコンデンサ3つと、右にあるのがリバーブの出力のカップリングコンデンサ。

回路定数が変更されていたので、オリジナルの音を確認する為に積層セラミックで回路図通りの定数にしたところです。
音的にはこの積層セラミックのままでもいいのですが、見た目の問題で交換します。






こんな感じですね。 古臭い感じを出しつつ、新品の現行品です。

単に「安価な汎用品」というのとはちょっとニュアンスが違うということに共感してくれる人、いるかなぁ・・・






次はこの3つ。




お、おい・・・剥がれたぞ・・・




大事に保存します。




これはかっこいいなぁ。




うーむ・・・ (何か言いた気な感じ)






あとはここだけか。




ここの皮膜が剥けてて気になっていたのですが、グルグル巻きのオレンジドロップのリードを外したら




こんなになってしまい、交換しようと思ったら・・・




トランスの中から直接出ている配線材だったので途中で切って繋げました。
ちなみにパスコンのオレンジドロップは0.022μFが付いていたのは回路図通りの0.01μFに交換。




そして、こうなります。






これで全てのコンデンサの交換が完了しました。






狙い通り、市販メーカーのオリジナルっぽい感じになったと思います。




新品の現行部品に交換したということで確実な安心感があります。




満足な出来栄え。 (自画自賛)






交換前と交換後を比べるとこんな感じです。




まぁ回路定数が変更されていたのを元に戻したかったのもありますが、気持ちの問題も大きいですね。

良い物とされているようなコンデンサは、それ自体は良いと思うんですけれども
デッドストックの古いものは劣化して容量がおかしくなっている可能性もあるし
コンデンサの特徴が良い方向に変わっているのか、悪い方向に変わっているのか分からないし
他人が改造したもののはんだ付け信頼出来ないので、今回のような交換をした方が私は確実で安心です。

でもこのモデファイの作業をした人ははんだ付けもしっかりしてたし
回路定数の変更の仕方もなかなか良かったと思います。

ある程度分かってて経験もある人だったんだと思いました。



ではニスが乾いたので土台にリバーブ・ユニットを取り付けてキャビネットの底に置きます。




GA-200と同じようにコネクターで脱着可能にして、いつでもGA-200に戻せるようにします。
今度は1芯シールド線を用意したので網線で加工するよりも簡単です。




ドッキング。




完成です。




ルックスといい、音といい、すばらしい。

リバーブの感じも動作確認した時はもっと昔のテケテケサウンドっぽくビチャビチャしてたと思いましたが
あらためて鳴らしてみるとそれほどビチャビチャしてなくて好みに近い感じでした。
ジャズコーのリバーブに比べると、ややショートディレイっぽい感じはしますけどね。






いやー、昔のアンプは良いですねぇ。

良いアンプは色々ありますし最近は Marshall の Lead12 が好きなんですけど、この Express6 も気に入りました。
チューブアンプだから、フルチューブだから、というのもありますが、チューブアンプにも色々あるじゃないですか。
それこそ Guyatone の GA-200 なんかはフルチューブだから良いわけで、クリーンで弾いている分には良いですけど
実際にヘヴィなサウンドや気に入った歪みの音を出そうとすると、エフェクターとの相性は悪いわけです。

それがこの Express6 はフルチューブなのに、トランジスタアンプで使うエフェクターのセッティングのまま
同じようないつもの音が出る感じで感覚的にも使いやすいです。

トーンコントロールが「TONE」のつまみ一つだけの1バンドなので限界はあるものの、充分に使える音の範囲の可変です。

参考までに Express6 と Lead12 を比べた動画を撮ってみました。

単に同じ音か、違う音か、というとそりゃぁ当然のことながら違う音なわけですが、
私はある意味で同じ音として捉えています。
同じ音のまま、アンプによる違いやチューブとトランジスタの違いを楽しめるという感じで捉えています。
楽しいです。


TEISCO Express6 VS Marshall Lead12 動画






こっちはMETALLICA編。
動画だと実際の音が伝わりにくいと思いますが、やっぱメタリカやるなら Lead12 の方がいいです。

TEISCO Express6 VS Marshall Lead12 (METALLICA編)動画





2018.12.8

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