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No.42「YAMAHA / YTA-25 修理」


今回はYAMAHAのギターアンプ「YTA-25」の修理依頼です。
今までにYTA-95とYTA-15を修理したことがありますが、YTA-25は初めてです。

たまにVOLUMEが0の状態になって鳴らなくなって
リバーブ音だけになってしまうとのことです。

リバーブの件は私も気になっていたので調べたのですが
最近のアンプはVOLUMEを0に絞っていればリバーブ音も出ず、何も音は鳴りませんが
昔のアンプはVOLUMEを0に絞っていてもリバーブ音だけは鳴るものもあります。

どういうことかというと、
リバーブはメインの信号ラインから分岐させて並列で2本の信号ラインに分けて
片方の信号がリバーブを通って、またメインの信号と合流するわけですが、

メインの信号ラインから分岐させる場所が、
・VOLUMEより後にあればVOLUMEを0に絞った時にリバーブ音も鳴らない。
・VOLUMEより前にあるとVOLUMEを0に絞ってもリバーブ音は鳴る。
ということになります。

そして昔のアンプは、メインの信号ラインから分岐させる場所が、
VOLUMEより前にあるものと後にあるものの両方があったのです。

YTA-25はVOLUMEより前でリバーブ用の信号を分岐させているので
VOLUMEを0に絞っていてもリバーブ音だけは鳴るわけです。

ということで、今回修理する症状は「たまにVOLUMEが0の状態になってしまう。」というものですね。





YTAシリーズの貫禄があります。





電源スイッチのONが上下にあるタイプです。
上下を切り替えるとコンセントを差し込む向きを変えた状態になります。

ノイズ対策ですね。





レトロなノブは健在です。





裏側。





出力25W、消費電力30W、かな。





REVERB、TREMOLO、山崎さん、のフットスイッチジャック。





これかっこいいですよね。
電源電圧を切り替えられるようになっていて100Vに設定されています。





ダイヤルを回すのではなくて、抜いて差し込むタイプです。
YTA-95では電源トランスのそばにありました。





背面パネルを外しました。





うぅー、苦手なクモの巣がっ!!





お掃除から始めますねー。





先生、お掃除終わりました。





予備のヒューズが付いてます。






いよいよ基板ユニットを引き出しますよ!!





かっこいいですね!!





Preamp基板です。





奥の壁に取り付けられているのがパワーアンプ基板ですね。





パワーアンプIC、STK032です。








トランジスタを見ていきます。

2SC644-Yと2SC732-BLです。





FETの2SK30A-Y





トランジスタは、種類的にはこれだけですね。



リバーブのドライブ用アンプIC、AN374です。





YTA-95やYTA-15ではAN274でした。





うーむ。電源の平滑用電解コンデンサの容量が隠れて見えない。





よいしょー。
2200μFでした。





YTAシリーズの唯一の欠点は、基板の配線材が断線しやすいことです。





オーバーホールする時に基板の表と裏を何度もひっくり返してると100パー断線するので
いっそのこと基板を外して作業することにします。





うーむ、かっこいい・・・





BASSとTREBLEのPOTに軽いガリがあって、
絶妙な位置にした時に音が出なくなる箇所があることを確認しました。

かなりゆっくり回さないと音の出ないポイントが分からないくらいの絶妙な位置ですね。
数か所あって、その都度デッドポイントが変わる感じもあります。

ですので、POTをクリーニングします。





端子が真っ黒で、カーボン部分にシミのようなものがありますね。





えへへー、綺麗になりましたね。





ここにも接点がありますからね。





カバーを閉じる前にガリが取れたことを確認します。





トランジスタは全て廃番品なので互換品と代替品を使います。

2SC644-Yは2SC1923
2SK30A-Yは2SK303L-V5
2SC732-BLは2SC1815-GR





2SC1815はランクがGRでも、hFEが350〜600のものを選別すれば2SC732のBLと同等になります。





hFE=436あるのでOKです。





2SK303Lは2SK30Aと端子配列が異なるので忘れないうちに端子を曲げておきます。





交換する電解コンデンサ





部品配置図を作成するのが時間かかるんですよねー、楽しいからいいけど笑





同じ容量でも大抵は昔に比べて小型化されているのですが
たまに大きくて装着出来ない径のものがあるので、大きさを確認して揃えます。

大きさの確認や、全て揃っているかどうかを確認するのに部品配置図は役に立ちます。





先にPOTを取り付けちゃいましょう。
プレートを治具にしてPOTを取り付けてからハンダ付けします。





はい、トランジスタを電解コンデンサを全て取り外しました。





この青いのは私が好きなタンタルコンデンサです。
極性を間違えたり電圧をかけ過ぎると簡単に燃えるので危険であるとされて
ある時期からほとんどのメーカーで使用しなくなったようです。

MXRのDistortion+なんかは危険物になってしまいますね。





古いコンデンサは大抵、肥大化しています。 これは470μFが614μFになってます。





交換しました。





うむ。







次は電源基板です。





ひっぱり出しました。





交換しました。





大きなコンデンサは運ぶときとかの振動で揺れてハンダ割れを起こさないようにボンドで固定します。
どのくらい効果があるのかは不明ですが。







次はパワーアンプ基板です。 STK032の印字がかすれているような・・・?





交換しました。

あらら、やっぱりSTK032の印字がかすれています。
触れただけで粉のようにポロポロと落ちてしまいます。





白の塗料で書いておきました。





シャーシーを放熱器として使っているので密着性を高める為にシリコングリースを塗ります。





最後に電源平滑用の電解コンデンサです。
時代と共に小型高性能化されているので大きさは小さくなりますが同じニチコン製ですし信頼性はあります。





古いコンデンサは容量の肥大化や抜けがなくても劣化しているので、充電してみると放電が早かったりします。







先生、全ての交換が終わりました。





よし。





あとはREVERBとTREMOLOの効き具合を調整します。





調整箇所は2ヵ所ですね。





ところがどっこい!!




REVERBは良いのですが、TREMOLOはどう調整してもINTENSITYの位置によって
カッカッカッ・・・というクリック音が鳴ってしまいます。

基板上の半固定抵抗器での調整可能範囲を超えているようです。





色々と試行錯誤した結果・・・



TREMOLO回路の2SC1923-YのhFEが足りないようです。





色々と試したところ、
UTCの2SC1815L-GRのhFE=364で調整可能範囲にもって行けました。







修理完了です。





動作良好。
テレビを観ながら1時間ほど弾いてもVOLUMEが下がる症状は出ないですね。









あとはここが剥がれているのが気になってたので・・・





接着したり





ジャックを接点復活剤で磨いたりしておきました。









最近はチューブアンプを使うことが多くてトランジスタアンプの良さを忘れかけていましたが
YTAシリーズは高音がキンキンすることもなく低音がしっかりしていてクリーンが素晴らしいです。

あと、YTA-95がトランジスタなのに対してYTA-15とYTA-25はICですが、
どれも同じYTAシリーズの音がするというところが凄いなと思いました。

良いトランジスタアンプはクリーンでずっと弾いていても楽しいですね。

そして音もさることながら、オリジナルで頑丈なシャーシーの材質やデザインや独特なノブに至るまで
高度経済成長期の時代だからこそ創ることが出来たギターアンプなのかもしれません。

現代のギターアンプは、数十年経った時にどう評価されるのでしょうか?



2022.9.21



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