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No.51「Jugg Box / JBX-40 オーバーホール」


またまたJugg Boxのギターアンプの修理依頼です。





Jugg BoxはJBX-60、JBX-Jr30、Micro Juggを立て続けに修理してきましたが
今回はJBX-40です。





オーバーホール(消耗部品である電解コンデンサとトランジスタの交換)と
全てのジャックの交換の依頼です。
あとTREBLEとBASSのPOTにちょっとガリがありますね。





実はJBX-60を修理した時にジャックを外すナットが前面パネルの内側に隠れていて
パネルの接着を剥がさなくてはならなかったり、
電源スイッチを外す為に内側から基板を外す必要があるのですが、狭くてはんだを外すのが困難だったり
色々と素直に分解出来ないような作りになっていたので
もうこの機種の修理は承らないと決めていたのですが、
まぁ一度出来たことは次も出来るだろう、ということでやることにしました。





サイズ的にはMicro Juggに近いですが、見た目と作りはJBX-60に近いです。
JBX-60との主な違いは、JBX-60が2ch仕様だったのに対してJBX-40は1ch仕様ですね。





使い易いコントロールですね。





うらー





日本ハモンド株式会社です。





GNDスイッチ。ノイズの少ない方にします。





スピーカーアウトとラインアウトですね。
天才的な配線になっています。交換します。





スピーカーはオリジナルですね。





真空管が見えます。6L6GCのはずです。あとで確認します。





リバーブタンクがありますね。







では基板ユニットを引きずりだします。

ウィーーーーーーン!!

ズドドドドドドド!!





電源基板を発見。
JBX-60と共用の基板で平滑コンデンサが1つ空席になってますね。





これはパワーアンプ基板。





そしてこれが・・・

前面のジャックを交換する為に外さなくてはならない恐怖の電源スイッチ基板です!!





そしてこれが入力ジャック部分。これも交換します。





これはプリアンプ基板の裏面です。





あとから追加されたような電解コンデンサがありますね。





真空管は、まだゲッターも残ってるし音的にもまだ交換の必要はないですね。





6L6GCです。





トランジスタは、パワーアンプ基板に2SC2534が2個と、





2SA733





ここにも2SA733





ひっくり返して表側





ここにも2SA733







それでは手術を始めます。



まずは恐怖の前面ジャック交換から行いますが、
その為には恐怖の前面パネルを外す必要があり、
さらにその為には恐怖の電源スイッチ基板を外す必要があります。





ハンダゴテが周りに触れないように、無理な角度で、尚且つ、熱でスイッチが壊れないように
尚且つ、基板のプリントパターンを痛めないように、電源スイッチ基板を外すことで、
電源スイッチが外せるようになります。





電源スイッチを外さないとパネルを外すことが出来ないということです。





あとはカッターで接着を剥がしていきます。











三万年後・・・











外れました。





これでようやくジャックのナットが見えてきます。 ぜぇ、ぜぇ・・・





この辺り一帯のジャックを外します。





先生、外しました。





新しいジャックは端子配列が違うのでこの基板は使えません。





新しいジャックです。





新しいジャックの端子配列に合わせて基板を作ります。





パターンの基本形です。





基板が出来ました。





抵抗器は元のを使います。





ウィーーーーーーン、ガッチャーーーーン!!





これはGAINのフットスイッチ・ジャックです。





交換します。





次は入力ジャックです。





基板ごと外します。





これはちょっと小細工すれば新しいジャックに対応出来ます。





新しいジャックに交換しました。





取り付けます。





これで前面のジャック交換が完了しました。





入力ジャックも交換完了。









さぁ!!

あとはパネルを元通りに接着します!!













接着しま・・・   ん!?









お、おぅ・・・

パネルを貼る前に電源スイッチの基板をはんだ付けしてしまった・・・





再び恐怖の電源スイッチ基板のはんだを外して・・・あぁあぁぁっ!!





恐れていた事態が発生してしまったようだ。

見たこともない球まで転がっている・・・





どうやらスプリングの上に球を乗せて、金具で押さえ込みながらはめるようだ。





おぉ。パッチーンってはまったぞ。パッチーンって。





先生、直りました。(真顔)





電源スイッチを外した状態で、





パネルを接着します。





ふぅー。峠は越えたぞ。







では基板の電解コンデンサとトランジスタを交換していきます。

プリアンプ基板からいきます。





2SA733はセカンドソースの2SA733Lにしようと思ったのですが





元のhFEが166なのに対して





セカンドソースの2SA733LはhFEが407もあって、まぁhFEは大きい方が性能が良いと言えるのですが





やっぱりよく使う互換品の2SA1015Lにしようかと。





hFEは298です。





電解コンデンサは、チューブラタイプはUNICONにします。





あとはnichiconのFine Goldに交換します。





交換しました。





かっこいいですねー





次はパワーアアンプ基板かな





おう、裏返すのが大変だ。





そうすると、奥にある電源基板を先にやっちゃった方がいいかな?





うむ。なんとか裏返せるようだ。





電解コンデンサを固定する接着剤が2種類こびり付いているので一度交換してありますね。





ドイツ製F&Tの47μF/500Vとnichiconの33μF/450Vに交換します。





交換したぞ。

グヘヘヘヘヘ!!





最後にパワーアンプ基板。





2SA733は2SA1015Lにに交換。





2SC2534はそのまま新品に交換。





電解コンデンサはnichiconのFine Goldに交換します。





出来ましたーーーー!!





途中でことあるごとに音出し確認をしていたらTREBLEとBASSのガリが無くなっていました。
一応、接点復活剤でクリーニングしておきました。







最後に背面のジャックを交換します。





これですね。





スピーカー端子とLINE OUT端子です。





抵抗器が付いてます。

ジャックのスイッチングシステムを上手く使った回路なのです。





元の抵抗器を流用するのでバラします。





取り外した抵抗器と新しいジャック。





下処理をします。





先生、取り付けました。





これで全て完了です!!

お疲れ様でした!! はい、ありがとうございます。





動作良好です。





いやー、やはりこのアンプは本来ジャックの交換が出来ない構造になっているので
色々とバラすのに神経を使いますし、基板も製作しなければならなかったりするので
やりがいがありました。

音の方は、前回のMicro Juggはクリアーしか出ないもののかなり良いクリアーサウンドでしたが
今回のJBX-40は歪みますね。

VOLUMEでも歪むし、GAINを上げればもっと歪みます。
逆にクリアーにするにはVOLUMEもGAINも0付近まで下げる必要がありますが
このアンプの良さは歪みにあるといえると思います。

MASTERがあるので音量を上げなくても歪み加減をコントロール出来るので
使い易いアンプですよね。リバーブも良いし。

あとはJugg Box全般に言えることですが、日本ハモンドらしい頑丈な作りですよね。

80年代の雑誌でもめくりながらブルージーなフレーズを弾いていたい・・・
そんな気分になります。

2023.10.12

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