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No.53「Jugg Box / Micro Jugg MJ-3 修理 2台目」


今回はJugg Boxのギターアンプ「Micro Jugg MJ-3」の修理依頼です。
Micro Juggは少し前にも修理したのでこれで2台目になりますが、

なんと今回はカバー付きです!!





そしてカバーを外すと・・・


まるで新品のような輝きです!!





美しいですね。





極めて保存状態が良いですね。





なんと、汚れているのかと思ったら
ノブの銀パネルに保護ビニールが付いたままです。
剥がしちゃおうか(ぇ





錆びも無くて綺麗です。





ロゴプレートも新品のように綺麗です。





うらー。





ぬをー!! なんか札まで付いてる!!





ここにも保護ビニールがっ。
定格消費電力は70Wです。ちなみに出力は40Wです。





MAX300Wのコンセントが付いています。
ここにこのアンプを4台繋いでも大丈夫ですね。





充実の装備。





リバーブタンクがあります。





ACE TONE製です。
エース電子工業が無くなって日本ハモンドがACE TONEブランドの製品を引き継いだとかなんとか。





スピーカーは当然オリジナル。





こんなに新品同様の保存状態ですが、実は全てのつまみに結構なガリがあります。

長期保管品といった感じですね。



ということで今回の依頼は、
ガリの除去とオーバーホール(電解コンデンサとトランジスタの交換)と
全てのジャックの交換です。





それでは基板を見てみましょう。





はいはいはい。
まぁ前回の基板とだいたい同じなんですけど、
33μFの電解コンデンサのブランドが前回はuniconだったのがこれは松下になってますね。





上のやつは47μF/450Vって表記が見えるけど、下のやつは見えませんね。
たまたまこれは33μFだということが分かっていますが、
取り付ける時に数値が見えるようにしてもらいたいですよね。(毎回言ってますね・・・)





接着剤で固定されているので回転させられないのですが、
頑張ったら見えました。 33μF/350Vです。





一番下のこれもね、47μF/500Vだと分かっているんですけどね。
絶対にわざと数値が見えないように取り付けていますよね。意地悪ですね笑





おぅ、配線材の束をよけて頑張ったら見えました
47μF/500Vです。





これはパワーアンプ基板。





トランジスタは2SC2534。 前回と同じですね。





もう1個あります。





あと2SA1015-Yも前回と同じですね。





2個ずつ、合計4個です。





プリアンプ基板は取り外さないと部品面が見えないのでまたあとでね。





ノブの留めネジが錆びていないのが凄い。





真空管は前回と銘柄が違うけどこっちがオリジナルでしょうね。





6L6GCです。ブランドは不明ですがまだまだ使えますね。





プリアンプ基板をひっくり返して部品面を見てみましょう。

前回のと若干コンデンサのブランドが異なるだけで、まぁ同じですね。





TA7136APが2個。





リバーブのドライブ用のIC、BA521ですね。







では、まずPOTのガリの除去を先にやっちゃいましょう。





パッカーン。





なんかカーボンの露出面積が小さくてクリーニングしづらいような気がする。





ガリが取れたことを確認します。





はいー。全てのガリの除去が完了しました。





ここで一旦動作確認します。 動作良好です。







ではオーバーホールしていきます。





このところ新型コロナやウクライナ情勢やらの影響で
本当に部品の仕入れが困難になってきています。

前回と全く同じ部品で揃えたかったのですが、一部、前回仕入れたお店では在庫が無くて
別のお店で通販で仕入れたりしても揃わず、最後の手段として
コロナ渦以来行っていなかった秋葉原の電子部品店街に久しぶりに行ったりして
なんとか前回と全く同じ部品で揃いました。





ジミヘンのライブ盤を聴きながら電解コンデンサを取り外します。





全てnichiconのFine Goldに交換します。





古いやつは470μFが実測429μFになっていました。
普通は古くなると容量が肥大化するのですが、容量が抜けていますね。





新しいのは実測473μFです。素晴らしい。





お、47μFの古いやつはちゃんと容量が肥大化して51.91μFになってますね。





はいー。交換しました。





次は電源の平滑コンデンサをやります。





束ねてある配線材をほどいてジャックも外してグワーっとやりますが
これ以上ひっくり返らないのではんだゴテを入れるのがやや困難です。





はんだを外しても接着剤が頑強なのです。





丁寧に接着剤を外していきます。





ふぅー。





特に古いアンプのオリジナルの電解コンデンサは
必要最低限の耐電圧で細かく設定されていることが多く、
これもB電源電圧に合わせて500V、450V、350Vになっていますが

耐電圧まで厳密に合わせると仕入れが困難になるので
大は小を兼ねるので全て耐圧500Vにしています。





外したやつの容量を測定してみましょう。
47μFが65μFに肥大化してますね。なんだか嬉しいです笑





おー、
47μFが51μFですねー。





33μFが39μFかぁー。もう少し頑張って肥大化して欲しかったなぁ(ぇ





ちなみに新しい方は47μFが47.94μFです。全然優秀ですよ。





これは33μFが36μFです。全然優秀です。





はい。取り付けました。





次はパワーアンプ基板です。





おぅ、またプリアンプ基板と電源基板も外さないとだ。





取り外したのと新しいやつ。





2SC2534は廃番品ですがギリギリ入手可能なので新品の2SC2534に交換します。





互換品は2SC2333がまだ入手可能ですがこれも廃番品なのでそろそろ無くなりそう。





2SA1015-Yも廃番品ですがまだまだ在庫があるのでそのまま2SA1015-Yに交換します。





IRON MAIDENの初期のアルバムを聴きながら交換完了です。





夜中の3時に動作確認。 動作良好です。







さぁ!! いよいよジャックの交換です!!

実は個人的にはこれが手間のかかるメインイベントです。

機能は同じですが新しいジャックは端子配列が異なるので配線に注意します。





入力ジャックの下ごしらえをします。





絶縁ジャックを使わずに、
絶縁ワッシャーによって絶縁される仕組みになっています。

右から2番目の分厚い平ワッシャーだけ特殊なので使い回しします。





これ。分厚いやつ。





入力ジャックを交換しました。





こうですね。





いよいよ世にも恐ろしい背面パネルのジャックです。





まずはこのFOOT SWの2つをやっちゃいます。





交換しました。





そしてこれです。

簡単そうに見えてもこれだけで3時間はかかります。





特にこれね。HEADPHONEジャック。





端子にぐるぐる巻いてからげてある抵抗器のはんだを外します。





無事に取り外せたので一旦足を伸ばしましょう。





抵抗値を測定しておきましょうね。

セメント抵抗器は100ΩでOKです。





これも1ΩでOKです。





下ごしらえをします。

セメント抵抗はGND側に収縮チューブがありましたが
GNDはシャーシー等に接触しても大丈夫で
GNDではない側を収縮チューブで絶縁するようにした方が良いのでそうしました。





ふぅー。完了です。





こうですね。





先生、出来ました。





動作良好です。

お疲れ様でした!!





古いアンプなのにとても綺麗な状態で奇跡的な新品同様の個体でしたね。
長期保管らしくPOTのガリが酷かったですけど、わりと素直に除去できました。
クリーンが素晴らしい音のアンプです。

こういう作業をしているとどうも夜中の2時、3時になることが多くて
そんな中で、ジミヘンとかの古いアルバムを聴きながら古いアンプをいじっていると
まるでタイムマシンで過去に遡ったかのような錯覚に陥ります。

スマホもパソコンも無い時代・・・
エフェクターの種類も限られていたような時代に生きてみたかった。
そんな思いがよぎります。

古いアンプはタイムマシンです。

うん。しばらくジミヘンでも弾こうかな。

2024.1.14

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