ギターダー
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No.54「Jugg Box / Stuff 060G AL オーバーホール」


今回はJugg Boxのギターアンプ「Stuff 060G AL」のオーバーホール依頼です。
かなりの重量で厳重に梱包されています。 27.5kgありました。





ウィーン!!ガッチャーン!!・・・


前開きタイプです。
四隅が頑丈なスポンジで浮かせてあるので完璧な梱包ですね。すばらしい。





ビニールカバーが付いています。





保存状態が良いですね。 綺麗です。





おーぅ、美しい眺めですねー。





ここはちょっと年季が入っていますが、これ本革なんですよ。持ち心地が良いです。





今回は軽いガリとオーバーホールと全てのジャック交換です。





実はこのアンプは、Mesa/Boogieの「Mark T」に影響を受けて製作されたとのことで
興味が湧いてきますねー。





「Mark T」と同じALTEC社のピーカーを搭載しているとのことです。





うらー。





出力が60Wで、消費電力が80Wです。





コンセントとGNDスイッチとヒューズソケット。





背面ジャック。





スピーカージャックは8Ωが2つありますが
両方に8Ωを繋ぐと直列で16Ωになる構造になっています。

うーむ。





背面パネルを開けます。





ALTEC社のピーカーです。





RCAの6L6GC





パワーアンプ部のドライバー段に12AX7を使っています。
あとスプリングリバーブのユニットがありますね。







6L6GCです。





片方はピンの真ん中にあるガイド部分が割れてしまっています。





ガイドが無くても真空管のガラスは割れていないので使用には問題ありませんが、
ガイドの凹凸が無いと向きを間違えて差し込むことが出来てしまうので
向きを間違えないように本来の凸の方向にマーキングしておきました。





12AX7です。





うーむ・・・





では基板ユニットをずるずると引き出しましょう。





全体的な見た目はMicro Juggに似てますが
パワーアンプ部のドライバー段に12AX7を使っているのでトランジスタの基板が無いですね。





12AX7の基板





電源の平滑コンデンサです。





まぁ100μF/350Vと33μF/500Vが2個ずつなんでしょうけど
なるべく数値が見えるように取り付けて欲しい・・・





プリアンプ基板もかなりMicro Juggに似てますが所どころ違うんですね。





2SK30A-Yですね。





BA521はMicro Juggと同じ





今まで見たMicro Juggは2台ともTA7136APだったのがこれはTA7136Pなので
こっちが先に製造されていて、Micro Juggの方が後から製造されていたことが分かります。





っていうかさ、

まぁパワーアンプ部のドライバー段に12AX7を使っているあたりは
確かにMesa/Boogieの「Mark T」に影響を受けていると言えるかもしれないけど

プリアンプ部がICで構成されていることから考えるとフルチューブの「Mark T」とは別物ですよね。
もちろん「同じ」ということではなくて「影響を受けている」ということなので
あまり深く目くじらを立てることではないですね。

音は良いです。



いつものように部品配置図を作成します。





電解コンデンサの容量、数、外形などが合っていことを確認します。





先に軽いガリを除去して動作確認をします。





まずはプリアンプ基板からいきます。





全ての電解コンデンサとFETを交換します。





FETの2SK30Aは廃番なのでUTCの2SK303Lに交換します。
2SK30Aと2SK303Lは端子配列が異なるので気を付けなければいけません。





電解コンデンサ、ダイオード、トランジスタ等を測定出来るこのチェッカーなんですけど
わりと普及しているので使っている人も多いと思いますが、実は注意が必要です。

端子配列を自動判別して便利なのですが、
何故かFETだけは型番の印字面を手前向きにセットすると端子配列がデタラメに表示されるのです。

2SK30Aの端子配列はS、G、Dなのに、D、G、Sと表示されてしまいます。
(ソケットの端子番号は左から1、2、3です。)





これは、型番の印字面を奥向きにセットすると、S、G、Dと正しく表示されます。
(ソケットの端子番号3、2、1、に対して、FETの印字面からみて左からS、G、D)





2SK303Lの端子配列は型番の印字面から見て左からG、S、Dですが
2SK303LもFETの印字面を手前にセットしてしまうとG、D、Sになってしまい、





型番の印字面を奥向きにセットすると、G、S、Dと正しく表示されます。





ということで、

間違えないように慎重にS(ソース)とG(ゲート)を入れ替えてセットします。





電解コンデンサも取り付けていきます。
前回やったMicro Juggと似てますが容量も極性の向きもあちこち違いますね。





全てnichiconのFine Goldです。
初期のIRON MAIDENを聴きながら作業しています。





プリアンプ基板が終わったところで動作確認をします。動作良好です。





ちなみにこれ、サランネットの端の部分に隙間があって





反対側も斜めに隙間があるのですが、





これはマジックテープなので外せるんですけど、
もともと木の枠が歪んでるのでちょっと直せないですね・・・





では電源基板をやります。





なんとか入手出来ました。
uniconの100μFはオーバースペック耐圧の450V、33μF/500VはドイツのF&T社製です。





古いやつは100μFが125.5μFに肥大化していました。





33μFも45.78μFに肥大化していました。





ジョン・スコフィールドを聴きながら作業しました。





ちゃんと数値が見える向きに取り付けました。







あとはジャックです。

INPUTジャックからいきます。





Micro Juggとは端子配列の異なるジャックが使われていますね。
新しいジャックと同じ端子配列です。

下ごしらえします。





この分厚い平ワッシャーは特殊なので流用しますね。





こうなります。





続いて背面パネルのジャックです。





なるほど。
Micro Juggのと似てるけどちょっと違うのね。





HEADPHONEジャックの端子配列は新しいジャックと異なるので注意が必要です。





下ごしらえしておきます。





これも下ごしらえ。





HEADPHONEジャックの抵抗器を外しました。





2.2kΩであることを確認して使います。





下ごしらえをします。





取り付けます。





はい。これで完成です。お疲れ様でした!!





60Wでパワーがあります。綺麗なクリーンサウンドですね。







今回のアンプはとにかく重かったです。
しかしその分、どっしりとした安定感のある音が出ますね。
プリアンプはICですが、パワーアンプがドライバー段も全てチューブなので
まるでフルチューブかのような感じで、しかも60Wあるので低音も豊かです。

Mesa/Boogieの「Mark T」に影響を受けて製作されたとのことですが
回路的にはプリアンプがICなので別物だなぁとは思ったものの
外観やパワーアンプ部は確かに影響を受けていることが分かりますね。
ネットで「Mark T」の音を確認してみると音もかなり似てました。
重さもほぼ同じですね。

なんていうか、Gibsonのレスポールを真似てGrecoをリリースしていた時代というか
海外製品を真似るんだけれども、偽造品ではなく日本の技術力を発揮させながら
ちゃんとオリジナルにして真似るという、高度経済成長期を思い起こさせるアンプでした。

また、Rolandが独立する前の時代のアンプであることも実に興味深いです。
エース電子工業から始まって日本ハモンドを経てRolandがJC-120をリリースしたあたりで
日本のアンプはもう満足してしまったのだろうか。、
あの頃の野心を持ったアンプメーカーが出て来ることはもうないのかと思うと、
古いアンプが余計に愛おしくなるのですが・・・

2024.1.30

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